乳がんが見つかるまで

2月 8, 2022 | ウェルネスライフ

40℃を超える猛暑から一転、昨夜の雨ですっかり空気が変わったパース
昨日は打って変わって、ひんやりとした秋晴れの気持ちいい空が広がりました。

新年早々1月はモヤモヤして動けなかったけど
節分・立春を過ぎた頃から気分も軽くなり、やる気も出てきたという方も多いのではないでしょうか?

旧暦というのは、本当にすごいですよね。
グレゴリオ暦で「1月1日が年の始まり」と決め、何百年も社会システムの中でトレーニングされてきたけれど、私達の細胞は、本来の心地よさやスイッチが入るタイミングを覚えているのかも知れませんね。

 

以前にもまして、自然の色の力強さ鮮やかさに目を奪われます

 

節分の日は、今後の治療について腫瘍内科のドクターと初めてのコンサルテーションでした。
昨年末に最初の検査が始まってから、診察、検査、手術、本当にいろんな場所に出向き、沢山の人達と会っています。情報やコミュニケーションによって、私の感情も時に揺れ、時に停止し、といった心の移り変わりも体験する毎日。

あまりの情報量に、このジャーニーの始まりのことも遥か記憶の彼方になってしまいそうなので
今日は乳ガンが見つかった時のことを書き記しておこうと思います。

いち体験記として、誰かのお役に立つかも知れませんし。
何より、こうやって表現すること、書くことがセラピーにもなっています。

 

 

身体に最初の異変を感じたのは、昨年の11月下旬。
両胸、両脇に炎症のような腫れと痛みが出ました。

生理中だったこと、50歳を前にしてそろそろホルモンの変化があるのか
少し疲れ気味だったからなど、思い当たる節があったので、ゆっくり睡眠を取りながら過ごすことに。

 

10日ほどで、炎症のような痛みや腫れは退き、それと同時に右胸にうずらの卵より少し大きめのしこりが現れました。
「あれ?何かおかしい??」と感じましたが、ガンには結びついてはいませんでした。

その時は「炎症起きて、乳腺詰まっちゃったかな?」くらいに思いましたが
12月に入っても小さくならないしこり、友人と会った時「大丈夫だと思うけど、絶対に検査に行ってよ」と別れ際に念押しされ、その時の彼女の声が頭から離れず、念のため近くのGPへ。

 

 

オーストラリアは、いきなり専門医に行くことはできません。
まず、GPという一般のドクターに診察を受け、必要であればそこから専門医へ紹介となります。

GPでの触診後、一番早い検査日を予約し超音波検査を受けることに。
クリスマス休暇を挟んでいたこともあって、この時点でもう年の暮れでした。

超音波だけの予定が、その場でマンモグラフィーも受けることになり
この辺りから「もしかして??」と一瞬不安がよぎりました。

 

この時の待ち時間、私は初めて「乳がん」というキーワードをスマホで検索しました。
よく知らなかった乳がんのこと。

「ステージ」「生存率」こんな言葉が目の前に現れ、
言いようのない不安な世界を覗き見してしまったようで、
「こんなことしたって、無意味じゃない。」とスマホを閉じ、
持参していた本を読み始め深呼吸しました。

 

 

何度も角度を変えて撮影する間、私の顔には戸惑いが現れていたんでしょうね。
検査後は安心させるように「問題ないわよ。これで検査は終わり。」と笑顔で送り出され、
この時も「あぁ、しっかり診てもらって大丈夫だったんだ。」
年明けからの授業やプログラムの準備も、安心して進められると晴れやかに帰宅しました。

よくよく考えれば、検査技師が患者に結果を言うはずもなく。。
でも聞こえたんですよ。「Nothing bad. All Good!!」って(そら耳でした?笑)

 

 

年明け一番に検査結果を聞きにくるよう連絡をもらった私は、その日GPの診察室に座り、
目の前にいる若い女医さんが話し始める前、軽く呼吸を整えた一瞬を冷静に見ていました。

「左胸は綺麗だったわ」
この出だしで、後に続く言葉は想像がつきました。

「右胸と脇に悪性の疑いがかなり強い腫瘍がある」

それを「うん、うん」と顔色変えずに聴いてる私に

「私達、今何の話をしてるかわかってるわよね?」
「家族は?」「ご主人には私から話しましょうか?」
「治療が終われば、必ず戻って来れるから」

彼女の方がみるみる悲しそうな表情に変わり
何度も発せられる「Sorry」という言葉を聞く度
「大丈夫よ。聞いておくべきことだったし。ありがとうね。」私の方が励ます謎の時間だったんです。笑

 

というのも
この時は「だって<疑い>でしょ? まだ確定じゃないし、専門医のところで違うって言われるに決まってるー!」なんて、この女医さんちょっと大袈裟だな。くらいに思っていました。
心配してくれてたのに、ごめんなさい💦

 

年末の楽しい時間

 

ただ、胸には何かがあって
取った方がいいものだと言うことだけは確信していましたので
一刻も早く専門医に行って、心配のかけらを払拭して楽しいことに集中しようと考えていました。

 

闇夜に輝く一つの星を見つけ
「ほら、あそこに光があるじゃない!」とたった1%でも希望を探して信じようと思う
ここが私らしい強さでもあり、激しいところでもあり。

 

前の記事にも書きましたが
自分がガンになるなんて、ほんの少しも考えていなかった私は
この後も検査の度に、どこかのタイミングでで「良性です」という結果を聞くことになると
「次こそは」とその時を待っていたように思います。

 

予想だにしていなかったことが突然目の前に現れると
人は思考停止になるのかも知れません。

不安だったのか、本当に楽観視していたのか、
よく分からないなと言うのが正直なところです。

両方が入り混じっていたのかも知れないし
波のように、どちらかが引いては押し寄せ
そんな年越しを過ごしていました。

 

 

 

 

検査結果を見た夫
元医者の義父とパートナー
診察してくれたGP

この人たちは、この時点で全体図とリアリティが見えていて
「いやいや、大丈夫!」と楽観視する私に
「こいつ、、、全然状況理解しとらんな」と、扱いに困っていたようでした。

ほんと申し訳ない💦

 

実は、定期検診と言うものを私は積極的には受けてきませんでした。

検査自体が健康な体に及ぼす影響だったり
知らなければ知らないで済むものを、病名つけて寝た子を起こすことの弊害だったり
そういう考え方がしっくり来ていたし、それは今も変わりません。
気になれば受ければ良いだけのこと。

今回、こんな風に乳がんが見つかった時のブログを書くことは
決して不安を与える意図はなくて

もし今まで気にしたことがなければ、一度自分の胸を確認するきっかけになれば嬉しいし
検査受けてみようと直感的に思うなら、その声を無視せず聴いてあげてください。

 

それは乳がんに限らずに言えること。
忙しさや過信から、体の声を聴いてないと感じたなら
少し時間を取って、気になるところに手を当てて見てくださいね。

 

 

 

次回は
家族でホリデーを過ごしながら、非日常で進んでいった
専門医とのやりとり、生体検査から手術までを書いてみます。

どんなことにも言えるのですが
経験しなければ、分からないことってあります。
そして乳がんになったからといって、全てのケースを知るわけじゃない。

乳がんと一言でいっても、様々な状態があって
そのうちの、私はたった一つのケースしか知らないわけですが

「私だったら、こうするな」という想像や仮説は
現実を目の前にすると、全く意味を持たなかったことにも気付かされました。

あと、検査中に爆睡する自分の図太さにも。笑


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