自宅で抗がん剤治療 ~Chemo@home~/Cancer Note

3月 5, 2022 | Cancer Note, Diary, ウェルネスライフ

先週の木曜、初回の抗がん剤治療が終わりました。

私が受ける予定のレジュメは、2週間毎に8回の点滴投与。
当日は通院で点滴を受け、副作用対策のお薬をもらって自宅でいつも通りの生活ができるというもの。

 

抗がん剤の副作用なんて聞くと
ドラマや映画でセンセーショナルに描かれるイメージが強いのですが
中には、フルタイムのポジションで有給をうまく使いながら治療をしている人の話を聞いていました。

もちろん、それとは逆に
本当に大変だった。。。もう2度とやりたくない。という場合も。
どんな風に反応するかは、個人差があるようですね。

5年ほど前に、抗がん剤最大の副作用である「吐き気・嘔吐」を抑えるとても良い薬が認可され、
その恩恵で比較的楽に治療を乗り切る人が増えたということでした。

 

 

さて、私の場合はどうだったか?

残念ながら、何千人に一人というレアケースの副作用が出てしまいました。今の時期、病院へ行くことをできるだけ避けたくて、自宅での抗がん剤治療を選んだのに、結果誰よりも長く病院のお世話になることに。

まるでビッグジョークです。笑

 

私は自宅で抗がん剤の点滴を受ける選択をし、Chemo@homeというサービスを利用しました。
薬への反応の仕方については、自宅でも通院でも変わらなかったと思うので
自宅で受けたことに全く後悔していないし、こういうチョイスがあるって経験できたことも良かった。

投薬を受けている時は、自宅のソファでリラックスして受けることができたし
その後、吐気が止まらなかった夜中も、Chemo@homeのナースがずっと電話で様子を伺ってくれ
最終的に救急車の手配までしてくれました。本当に心強かったです。

 

 

治療方針については、色々な考え方があるかと思いますが
一つの情報として、今日はChemo@homeについて、シェアしたいと思います。

 

まず乳がんの抗がん剤治療は、一般的に通院での点滴投与が主流ですね。

朝一番で病院へ行き血液検査を受け、1時間ほど待ちます。
血液検査の結果が出て主治医との診察後に点滴処置を受けますので、全てのプロセスに2時間半〜3時間半かかり
その後帰宅となるようです。

当初は私もこの流れで勧められていました。

 

ただ、抗がん剤治療の過程で白血球が下がるため
コロナワクチンの接種完了はしておいてくださいとのことでした。

Must(強制)じゃないけど、Highly recommend

実は、今回何よりもこのポイントが私にとっては大きな壁になっていました。

ワクチンを受けないといけないなら
抗がん剤治療はペンディングにするしかないな。
ということまで考えていました。

いや、おかしいでしょ? ワクチンは嫌で抗がん剤はOKって?
と思われるかも知れませんが、それは私の基準でもありました。

 

コロナだけじゃねく、感染症へのリスクを限りなく減らして
治療を受けることはできないか?を模索していた時

プライベートの医療保険のページで
偶然Chemo@homeを見つけました(夫が)

https://chemoathome.com.au

 

「これ、使えませんか?」

主治医に相談したところ、すぐにChemo@homeの機関に手配してくれ
とてもスムーズに第一回目の投薬を受けることができたんですね。

Chemo@homeとは、点滴投薬の抗がん剤治療を自宅で受けられるオーストラリアのサービスで
私が暮らすパースが発祥。

共に大切なご家族を癌で失った女性二人が
自身の経験から立ち上げられた医療サービスです。

(抗がん剤以外にも、定期的な点滴が必要な治療のサポートもいくつかあります)

たくさんの規制をクリアし、大変なことを乗り越えて、自宅で抗がん剤治療をしたい人達に寄り添うサービスを提供されています。

以前は、長期入院することなく家族と共に過ごしたい方の利用が多かったものの
最近は、病院へ出向くことの感染症リスクの回避や
通院の大変さから、利用者が多くなっているようです。

パースはずっと州境を閉じていてコロナ感染の心配はほぼありませんでしたが
私ががん治療を始めた少し前から、じわじわ感染者数が上がっていて
3月3日には州境をオープンにしましたから、まさにこれから。

それに、我が家は病院からハイウェイ飛ばして片道45分
夫に送ってもらうにしても、往復で1時間半、治療中の3時間程を何処かで時間潰してもらうことの負担を考えると、
夢のようなサービスです♡

実際、うちも来ていただいた日も
夫が娘の迎えに行けたり、普段の生活ルーティンを保持しながら治療を受けることができました。

 

 

ご参考までに、私の第一回目はこのような手順で進みました。

<前準備>
投薬日の2日前に近所のPathologyで血液検査をし
24時間前に、コロナの陰性証明をメールで送ります。

<当日>
予約時間にナースが自宅へ
まず、吐き止めの飲み薬を摂り、血圧や体温を測りながら説明を聞きます。
その後、ソファに座って点滴開始。

その間は、たわいもない世間話をしたり
副作用や不快な症状の対応策を聞いたり
1時間程で点滴は終了。

投薬後の様子を少し見るために、後片付けをしたり飲み薬の説明を受けたりしながら20分程滞在してくれました。

<接種後>
副作用が出やすい3日間は、毎日電話で様子を確認してくれます。
ホットラインももらいました。

 

担当してくれたのは、腫瘍内科のナースを30年しているベテランの方で
とても自信に満ち、今のサービスで働いていることに誇りを持っていて
この30年のがん治療の話も少し聴かせてもらったりしていました。

副作用に対応できる良いお薬ができてから
患者さんの生活の質が変わったことも、とても嬉しそうに話してくれ
「あんなに緊張していたのは、なんだったんだろう」と
いい意味で肩透かしを喰らったような体験でした。

 

・感染対策
・リラックスできる環境
・通院にかかる体力や時間のコスト

この3つを考え、Chemo@homeを利用しました。

実際に支払った金額は
プライベートの医療保険がカバーしてくれたので
副作用対策の飲み薬50ドル+初回の事務手数料40ドル

次回からは飲み薬代が毎回請求されますとのこと。

(カバー対象かは、入られている医療保険で要確認です)

 

これで、多少の吐き気や不快な症状は出ても
いくつかの薬ももらっていたので、対応できるなと思っていました。

 

ただ、最初にもお話した通り、副作用の出方が酷かった為
この日の夜に近くの病院に救急搬送され、その後5日間病院で過ごすことになってしまいました。

救急病院のスタッフが
「あなた、良い主治医を持ったわね。向こうから連絡があって、色々指示してくれたし、何よりあなたのこととても心配していたわよ。」と伝えてくれたこと
ナースの皆さんが、本当によくしてくださって有り難かった。

正直こころ折れそうな5日間でしたが、体のことやこれからの仕事のこと、色々考えることもありました。

 

友人が送ってくれた沖縄の海、鯨の親子に癒される♡

 

 

良いプランで納得してスタートしたと思いましたが
予想外が起こるのも、また人生。

それでも、やったことを一ミリも後悔していないし
ある景色を見たから、気づけることも。

やらなかった人生より、やってみる人生が私らしい。

 

 


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